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2012年1月

2012年1月22日 (日)

職人技

冬。
木々が葉を落としている時期を見計らって、
枝を払い、切り倒す。
東側の木々の成長は、
子供の頃には一望できた琵琶湖を隠し、
南側の木々の成長は、
松風庵への日照時間を短くしていった。

いつもは自分で枝を払うのだが、
今回ばかりは熟練の職人さんにお願いした。
10数mもある木に登り、上の枝を切り、
ロープに結わえて下ろしていく。
その作業の早いこと。
瞬く間に松風庵に光が差し込む。
職人さんの御歳は76。
30年くらい前にもこの山の木を切ってもらっている。
若い方を2人連れての見事な作業。

5年半前、松風庵の改装の時のこと。
大きな樫の木を切るのに、
改装業者さんから造園業者さんに連絡を取ってもらったところ、
「その木をきるなら、クレーンを入れて、木を固定し、
 家の方に倒れないようにしてからになるので、
 時間がかかり、費用も100万円かかります。」
との返事。
そんな時、その職人さんにたまたま出会った。
普段は木を切ってもらうこともないので、
連絡もしないし、町でも会わないのに、
たまたま母親が町でその職人さんに出会ったのだ。
そして、ほぼ30年ぶりくらいに来て頂いた。
問題の樫の木も、ものの数時間で綺麗にこなし、
改装業者さんに
「あの方は何者なんですか?」
と言わせたほどである。

職人技。
そんな言葉が頼もしく思える。
今の日本の技術では、
ほぼどんなことでも出来るだろう。
しかし、それには莫大な時間と費用が必要になっているものもある。
事実、木を1本切るだけでもそれは伺える。
要するに修行する期間無しに、
即戦力で仕事をこなしていくためには、
全ての仕事をマニュアル化し、
それに従って機械を操作し、身体を動かせば良い。
大量生産するため。
多くの人が働けるために。
確かにうなづける。
でもその「職人技」は、これから創り出し、
さらに磨いていく必要がある。
伝統のある「職人技」とは質を異にする。
これからの日本は、あらゆる分野において、
この2種類の「職人技」を護っていけるのだろうか?

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2012年1月 7日 (土)

春の苦味

七草粥。
一年の無病息災を願って食すとされるが、
正月の祝膳や祝酒で弱った胃を休める為とも言われる。

これを食する1月7日は、
五節句のひとつ「人日の節句」にあたる。
人日とは文字通り「人の日」という意味である。
中国の前漢の時代に、
元日は鶏、
2日は狗(犬)、
3日は猪、
4日は羊、
5日は牛、
6日は馬、
7日は人の日として、それぞれの占いをたて、
8日に穀を占って新年の運勢をみていたことに由来する。
さらに唐の時代には、
人日の日に「七種菜羹(ななしゅさいのかん)」
という7種類の若菜を入れた汁物を食べて、
無病息災を願うようになったとされる。

天神山には残念ながら春の七草すべては生えていない。
生えてるのは「はこべ」だけである。
だから、七草粥は七種の菜ということで、
どんな菜でも良かったのを理由に、
松風庵ではスズナ(蕪)やスズシロ(大根)を主に作ったりしていた。
しかし、最近は手軽にスーパーで七草セットを買うことができる。
ほろ苦い七種の菜の粥に、松風庵では丸餅を入れる。
苦味がほんの少しまろやかになる。

新春を迎え、これから芽吹く菜は、
ふきのとう、タラの芽、山うど、ぜんまい、わらび、筍など、
春の菜には苦味のあるものが多い。
「春の皿には苦味を盛れ」
古来より言われる。
この苦味が体内から毒素を出し、
冬に新陳代謝の悪くなった身体を回復させるのに一役買っているのである。

旬の物を食す。
ただそれだけのことが、一番身体に良い。
しかし、ほとんどの物が年中手に入る昨今では、
いつが旬かわからない物が多い。
そこは天神山。
春の若芽は自然の恵みを頂くことが出来る。
ただし、鹿、猪、猿との争奪戦に勝たないといけないが。

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